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【意外】金銭取引されて武器の原料にもなった貴重な『うんこ』

トイレ看板

世の小学生が嬉しそうにその単語を発する以外、一瞬で下水に流される運命のため、現在では脚光を浴びる事のない『うんこ』。
しかし、『うんこ』も大切な歴史の中の一部。
そんな『うんこ』、そして、それを受け止める便所の歴史を辿ってみましょう。

古代の便所事情

便所の事をカワヤとも言います。
これは川屋という意味で、古代人は川の中で「う~ん!」ときばっていたのが語源らしいです。
水中で「う~ん!」として、そのまま手で拭いていたのでしょう。
合理的ですね。

その後、川べりにロープを張り、それにつかまって「う~ん!」とするようになります。
ロープのおかげで気張りやすくなったでしょうね。

やがて、川の上に小屋を作り、そこで「う~ん!」とするようになります。

おっさん
川に流しとったら、川が汚のうならんかいの?
おばさん
小魚が食べてくれはったらしいわ。

道端で・・・

おっさん
川の近くに住んでなかった人らはどないしてたんや?
おばさん
道端で野糞。

当時の服装は着物でしたから、高下駄を履いて着物につかないように道端で「う~ん!」としていました。
道端の『うんこ』は、犬や猫、鳥といった動物達が食べてくれていました。

しかし、文明が進むにつれ人口密集地(都市)ができます。
人口が多すぎて犬、猫、鳥が処理しきれなくなるくらい、大量のモノが道端に放置され、やがて伝染病が蔓延しました。
この時期(古代)、短い期間で遷都が行われていましたが、一説には大量の『うんこ』による伝染病が蔓延した事が原因、とも言われています。

ちなみに貴族はキレイな『樋殿(といどの)』という小屋に設置されている箱に「う~ん!」とし、箱に入っている『うんこ』は侍女が始末していました。

このように、古代では『うんこ』は穢れたモノとされ、田畑にまき散らすと重罪、という法律まで作られていました。

 

肥料として脚光をあびる

鎌倉時代以降、『うんこ』は田畑の肥料として使われるようになります。
戦国時代になると、『うんこ』はお金を払ってまで購入されるほどになります。
「なぜか?」
全国の戦国大名はこう考えました。

殿さま
どんどん開拓して、どんどん収益増やすぞ!

積極的に農民に山野を開墾させた結果、山野が田畑に変わり草肥が減少して、人肥、すなわち『うんこ』に頼らざるをえなくなったのです。
そこで、往来の激しい都市の一等地に次々と公衆便所を作り、そこに溜まった『うんこ』を売る商売が誕生したのです。

鉄砲火薬としても脚光をあびる

戦国時代、『うんこ』は肥料としてだけではなく、鉄砲火薬の原料としても使える事がわかりました。
今まで、硝石(しょうせき)と呼ばれる鉄砲火薬は輸入に頼っていたのですが、この硝石は『うんこ』から作成できるという事がわかったのです。
まさに大発見です。

まとめ

その後、江戸時代も『うんこ』は金銭で取引されていましたが、やがて化学肥料にとって代わられます。

古代 穢れたモノ
中世 肥料として使用
近世 肥料として金で売買/火薬の原料
近代 肥料として使用
現代 不用物

田舎で肥溜めに落ちた、なんていうエピソードを持っている年配の方がいるくらい、最近まで『うんこ』はないがしろにされてはいなかったのですが、現代ではすっかり不用物です。

しかし、近年『うんこ(バイオ燃料)』で走るバスがイギリスで登場したり、我が国では『うんこ漢字ドリル』が小学生から絶大な支持を得るなど、にわかに脚光を浴びつつあります。
『うんこ』の復権はそう遠くないのかもしれません。