『暴走族』のバイクといえば、絞ったハンドル、風防、ロケットカウル、前輪のポール、旭日旗、三段シート・・・なぜこのようなデザインのバイクを好むのか、そのルーツはちょっと意外なものでした。
カミナリ族から暴走族へ
『暴走族』の起源としてよく言われるのが1950年代に誕生した『カミナリ族』。
メンバーは当時高価だったバイクを購入できる裕福層の子供が大半で、暴走族のように暴力主体ではなくスピード主体で、後年の走り屋のような存在だったようです。
マフラー(消音装置)を外し、「バリバリ」と騒音をたてながら車の間を縫うようにジグザグ走行する様が雷のように見える様からカミナリ族と言われました。
『カミナリ族』に人気のあったバイクの一つに『HONDA CB72』があります。
当時の価格は19万円ほどですが、消費者物価は1960年代と今では約4倍の開きがありますので、今の価値にあてはめると75万円・・・金持ち息子の道楽ですね。
1970年代になると二輪車運転免許を取得する高校生が増加し、今までよりも安価で購入できるバイクが発売され、当然、不良達も免許を取得しバイクを購入。
『カミナリ族』のようにスピードを追求せずに、集団でいかに目立つかが主体となり、チーム間の抗争、市民への迷惑行為がエスカレートし次第に世間からは『カミナリ族』ではなく『暴走族』と呼ばれるようになります。
プレスライダーに憧れて
メールはもちろんファックスもなかった1960~1970年代。
海外で撮影されたネガフィルムは飛行機で届けられ、一刻も早く現像するために空港から新聞社へ運搬する必要がありました。
そこで活躍したのが各新聞社お抱えのバイク便である『プレスライダー』です。
彼らは到着した荷物をバイクに積むと猛スピードで突っ走ります。
もちろん制限速度無視ですが、警察も彼らの仕事を理解していたのか取り締まる事がなかったといいます。
一刻も早く新聞社へ届けなければならない彼らの乗るバイクは以下のような特徴がありました。
風防
猛スピードで走るため、風よけの風防は必須でした。
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絞りハンドル
渋滞した道路をすり抜けるためにハンドルを絞っていました。
社旗
前輪あたりから旗棒が立ち、社旗をはためかせていました。
車の間を猛スピードですり抜けながら走る『プレスライダー』のスタイルに当時の若者は憧れ、次第にスタイルをマネしたわけです。
出典:きんぞうプロ
ちなみに『暴走族』といえば旭日旗を好みますが、なぜなのでしょうか?
反社会勢力の彼らが旧日本軍や自衛隊に憧れているのでしょうか?
もしかしたら当時の若者が憧れたのは朝日新聞社の『プレスライダー』で、その名残かもしれませんね。